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2008年3月24日 (月)

<童話>熊パパと森の仲間たち③熊パパと子豚のモモ

熊パパが、山道をのんびりとお散歩中・・・。
背中には、仲良しのフクロウ爺さんをのせていたよ。

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フクロウ爺さんの知恵は、熊パパをいつも助けてくれているんだ。
今日もね、熊パパに世界のあちこちで起こっている話をしてくれたよ。
「それから渡り鳥たちの話によるとな、最近・・・・」と言いかけたフクロウ爺さんが、突然叫んだよ。
「おっ、あそこに誰か倒れておるぞ!急げ」

熊パパがあわてて近づいてみると、ピンク色の子豚が傷だらけになって倒れていたよ。呼びかけても返事がなかった。
「フクロウ爺さん、悪いけどちょっと背中からどいておくれ」
「あいよ~ホーホー」と、フクロウ爺さんはどこかに飛んでいったよ。

熊パパは、子豚を抱きかかえると、ゆっくりと立ち上がって歩き始めたんだ。そして、坊やたちの待つ巣穴までそっと運んだよ。巨木の根元の洞を利用した広い巣穴にね。
「坊やたち、この子は怪我をしているから、ここに静かに寝かせてあげようね。この子のベッドのために、やわらかい草をたくさん取ってきてくれないかな?」
「はーい、パパ!」
まもなく子熊たちは、近くの原っぱからたくさんの草と野の花を抱えてきたよ。

するとその様子を見ていた近くの木の上にいた猿の若者たちが、あわてて姿を消したかと思うと、やがて腕にたくさん何かを抱えてやってきたんだ。
「熊パパ、ここに果物を置いておくよ。その子に食べさせてね」

母さん猿たちも顔を出して「この葉っぱの汁を傷口におつけ!傷に良くきくよ」と。
リスの母さんたちも、木の実をそっと巣穴の前に置いて行ったよ。

「森の仲間はみんなやさしいな」と熊パパね、ちょっと涙ぐんだよ。熊パパは、ちょっと泣き虫なんだ!

熊パパは、果実を搾って子豚の口にたらしてあげたよ。それから、薬草の葉の汁で子豚の傷口をやさしく拭いてあげたよ。子豚は死んだように眠っているばかり・・・大丈夫かな?


しばらくしてフクロウ爺さんがやってきた。
「熊パパ!これからひと仕事じゃ・・・ホーホー さあ、わしについておいで!」
ずいぶん歩いてある木の下にやってくると、フクロウ爺さんが言ったよ。
「この木の上に、蜂の巣があるぞ。ちょっと頑張って蜂蜜を手に入れるんじゃよ」
熊パパは蜂に刺されながらも木によじのぼって、どうにか蜂の巣を手に入れたよ。
「さすがじゃ!この蜂蜜を子豚の体に塗ってあげなさい。それから蜂蜜をなめさせてあげなさい。もちろん熊坊やたちにもなめさせるといいさ」

その晩、子熊たちもたっぷりと甘い甘い蜂蜜をなめて、幸せな眠りについたよ。Picture86blog_3


翌朝、子豚は気がついたよ。
「助けていただいたのね。ありがとう。
わたしね、もう少しでハムにされて人間に食べられるところだったの。
それを、白熊母さんのおかげで助かって、必死で逃げてきたの」

「ふんふん・・・白い熊だって?この森でそんな仲間を見たことないなぁ。
でもね、その話は後でゆっくり聞かせてもらうよ。まずはもっと元気にならなくちゃね。さあ、この蜂蜜をなめてからもう少しお眠りよ」
と、熊パパはやさしい目をして語りかけたよ。


子豚は、そのまま次の朝まで眠ったよ。よっぽど弱って疲れていたんだね。翌朝目を覚ましたら、熊パパにこう話し始めたんだ。
「わたしはモモよ。わたし、白熊の母さんと坊やと一緒に、小船に乗ってこの島までやっと逃げてきたの。私だけがこの島に上陸して、坊やたちは白い氷の故郷を目指して帰っていったわ。無事に行き着けるかしら?」

「白い熊?白い氷の国?さっぱりわからないけど・・・これはあとで、フクロウ爺さんから教えてもらうとして・・・さあ、モモちゃんの身に、どんなことが起こったのか話して聞かせてほしいな」

「それは昨日の夜のことだったわ。白熊の母さんと坊やが、とつぜん私の小屋にやってきたの。
私その時、とっても悲しくてシクシク泣いていたの・・・。
すると、どこからかやさしい声がしたのよ。
『お嬢ちゃん、どうしたの?この小屋の前を通りかかったら、あまりに悲しげな声が聞こえてきたので、つい入ってみたの』

とつぜん目の前に、大きな白熊の母さんがいたので、びっくりしたわ。
でもすぐに坊やが、かわいい声で『こんにちは〰』と言ってくれたので、ちょっと安心したのよ。
『あのね、やさしいお母ちゃんとたくさんの兄弟たちが天国に行ってしまって、今度は私の番なの・・・シクシクシク・・・』
『どうしてあなたの家族が、みんな天国に行ってしまったの?』
『人間に食べられるためによ。ほら、あなたたちだって私を食べたいでしょう?』

そのとたんグウーと、坊やのお腹が鳴ったのよ。白熊母さんも、大きく唾を飲み込んだわ。
『あっ、ごめん!さっき魚を食べすぎちゃってさ、お腹が鳴ってしまったよ、ヘヘヘ・・・』
坊やは、あわててお腹を押さえたわ。
ふふふ・・・
私は泣き笑いをして『いいのよ、私を食べても。どうせ、まもなく殺されて、食べられてしまうのだから・・・』と言ってあげたの。
『ねぇ君!僕たちは君を食べやしないよ』
『そうよお嬢ちゃん。安心なさいな』

ググウゥ〰 
でもね、また坊やのお腹が鳴ってしまったの。
『ふふふ・・・』私は、なんだかおかしくなってしまって、つい笑ってしまったわ。
『この餌箱に、たくさんの餌が入っているわ。どうぞお食べなさいな。でもこの囲いを超えられるかしら?』
白熊母さんは、片足で囲いをバリっと壊してしまったわ。頼もしい母さん!
坊やは、餌をあっという間に平らげたわ。よっぽどお腹がすいていたのね。


『やさしい子豚さんね。ありがとう』
『白熊母さんも、お腹がすいているでしょう?こっちにも餌をたくさん隠してあるのよ。あまりおいしくないけれども、どうぞ食べて下さいな。私ね、いつも餌をたっぷり食べたふりをして、本当はほとんどの餌を隠していたの・・・』
『そんなことをしていたら、死んでしまうわ』と白熊母さんったら、心配そうに言ったの。
『いいのよ。いずれにしても、私は死ぬのよ。私の家族は毎日餌をたらふく食べて、コロコロに太ったら・・・シクシク・・・あのね、次々と殺されてハムにされてしまったの。だから私、ちょっぴりしか食べずに太らないようにしていたの。だから遠慮なくこの餌を残さず食べてくださいな』
体の大きな白熊母さんにとっては、ちょっぴりの量だったでしょうね。でも、幸せそうに餌を食べてくれたの。

うふふ・・・よかった!
それから三人で、いろいろおしゃべりしたわ」

「ふーん、白熊さんたちとどんなことを話したの?」熊パパが聞いたよ。

「白熊さんたちはね、どうしても白い氷の故郷に帰りたいと言ったの。
あのね、つい数日前まで、純白の氷の世界に住んでいたのですって。親子で大病をして意識を無くして、何日か流氷の上で眠っていたらしいの。
病気が良くなって意識が戻ってみると、突然見知らぬ緑の世界に来ていたということらしいの。大きかったはずの流氷がいつの間にか小さくなっていて、さらに溶けかかっていたらしいのね。それであわてて流氷から離れて、この島に泳ぎ着いたのですって。

夕暮れ時に岸に上がったら小さな村があったので、夜中まで岩陰に隠れていて、月明かりの中をゆっくりと歩き始めたら、一つの古ぼけた小屋から私の泣き声が耳に入ったというわけなのね・・・。

白熊さん親子さんたちのお食事がすんでから、どうしたら白熊さんたちが故郷に帰れるかって、いろいろ話し合ったの。
それで私は、ハッと思い出したわ。父さんが生きていた頃、よく話してくれたことをね。
『わが子たちよ。この小屋は、海という巨大な水の容れものの近くにあるのだ。村人たちは、小船というものに乗って、その海に魚を取りに行くのだよ。私も一度でいいから、あの小船に乗って広い海の探検に出てみたいものだ』

それで、白熊母さんにこう言ったの。
『小船というものに乗れば、故郷の海へ帰れるかもしれないわ。小船は、長い細長いオールという板を自由自在に動かして、海の好きな場所へ行けるのですって』
『じゃあ、それに乗っていくことにしましょう。あなたも一緒にここを逃げ出すのよ』
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夜明け前に三人で急いで外に出て、海に向かって走ったわ。

ああ、海って、なんてすごくて巨大なものだったことでしょう。父さんが話してくれた以上にすてきなものだったわ。ザンブ ザンブって、海が歌っていたわ。砂浜のところに、父さんの話してくれた小船がいくつかあったので、白熊母さんが乗れそうな小船を海まで押して行って乗り込んだの。三人とも疲れていて、そのまましばらく眠ってしまった・・・。

太陽がさんさんと降りそそぐお昼頃、私が目を覚ますと白熊母さんは、すでに起きていたわ。そして、小船の上には生魚のお食事が準備されていたわ。
私ね、初めてお腹一杯に食べたわ。もう太っても大丈夫って、心から思えたの。
白熊母さんが、オールを上手に動かしてくれたわ。波の荒いところでは、母さんが泳いで、小船を押してくれたの。母さんとても泳ぎが上手で、びっくりしたわ。

少し行くと、この島を通りかかったの。その時白熊母さんが私に言ったわ。
『この島のずっと奥に、緑にあふれた高い台地が見えるでしょう?そこには、たくさんの動物たちだけが住んでいるのですって。さっき海鳥に聞いてみたから確かなの。ホラ、あそこに幅の広い川があるでしょう?あの川をたどっていくと、あの台地に行き着くのですって。夕暮れになったら、この川を上って行きましょう』


それで私たちは小船の上で、じっとあたりが暗くなるのを待ったのよ。

『さあ、出発よ』薄暗闇の中で白熊の母さんは、船を下りて川を泳ぎながら、小船を上流へと押してくれたのよ。ずいぶん長い時間が過ぎわ。
すると突然に、川が巨大な岩みたいなもので遮られてしまって、通れなくなったの。でも白熊母さんはちっともあわてずに『これがダムとかいうものなのね。さあ、少しだけ頑張ってね。これから少し川幅が狭くなるの。海鳥が教えてくれた魚たち用の川道があるのよ。ああ、良かった。この川幅だったら小船が通れそうよ』
その細くて上りのきつい川を過ぎると、今度はびっくりするほど広くて大きい川に出たわ。それからまた上っていくと、川がだんだん細くなって急流になって、そしてやっとこの森のある台地の下に着いたの」

その話を聞いて、熊パパは不思議そうに言ったよ。
「でも、この台地は断崖絶壁に阻まれて、けっして川からもどこからも登れないはずだよ。まさか、あれを知っているはずはないし・・・ともかく、誰もここに来られないはずだよ」

「そうなの・・・いざ、台地の下まで行ってみて、白熊母さんも頭を抱えたわ。でも、さすが白熊母さんよ。台地に向かって、大声でこう叫んだの。
『お願い!誰か助けて!どうかこの子をそちらの森へ連れて行ってあげて!』

すると、たくさんの猿たちがはるか上の台地の木の蔭から顔を見せてくれたわ。そして素早くお互いの手と足をつなぎ合って、縄ばしごみたいなものを作って小船の下まで伸ばしてくれたのよ。
『さあ、この猿の体を順に登っていくのよ。そうしたらあの上まで行けるわ。勇気を出して!』
白熊母さんの力強い声に、私は勇気を出して、その猿のはしごを登り始めたの。

ところが、あと少しで台地の上に着くという瞬間、空の上からとっても大きな黒い鳥が降りてきて、私の体をむんずとつかむと空中に飛び上がったの。下の方で、白熊母さんと坊やの悲鳴が聞こえたわ。

すると突然、私の体にたくさんの木の実がぶつかるのと同時に、私の体を捕まえていた大きな爪が外されるのを感じたわ。そして気がついたら、私の体は木の枝にひっかっていたの。猿たちが、その私の体をなんとか下におろしてくれたのよ。
私は草の上に寝かされたことまでは、覚えていたけれども・・・はっと気がついたら、たくさんの猿たちが、私の顔を心配そうに見つめているのが見えたわ。

『大丈夫?たくさん切り傷があるけれども、大きな怪我はしていないみたいだよ。歩けそうかな?』
わたし、体中が痛かったけれども、頑張って立ち上がって、ゆっくり歩いてみたの。
『助けていただいて、本当にありがとう!何とか歩けそうよ。わたし、この森で暮らしたいの。どうしたらいいかしら?』

そうしたら『それだったら、熊パパのところへ行くといいよ』『そうだそうだ!それがいい』と皆が口々に言うのよ。
『僕たちは、理由があって熊パパの住んでいるところへは行けないから、一人でお行きよ。この道をまっすぐひたすら歩いていけば、熊パパの巣穴のある巨木の近くまで行けるよ。その巨木のすぐ近くには、小さな原っぱがあっていつも色とりどりの野の花が咲いているし、たくさんの美しい蝶々が飛んでいて、小さな池もあるからきっとすぐわかるよ。君の怪我は、熊パパがきっと治してくれるよ。頑張ってゆっくりと歩いていくんだよ』

それで私は、猿さんたちと別れて、必死で熊パパの巣穴をめざしたのよ。でも途中まで来ると、だんだんに気分が悪くなってきて何度何度も地面に倒れて・・・ふと気がついたら、何とこの巣穴にいたというわけなの。最初信じられなくて、夢をみているのかと思ったわ。
熊パパに会えて、本当に良かった・・・むにゃむにゃ」

モモは、そう一気に話し続けると、ほっとした顔をして・・・またうとうと眠ってしまったんだよ。

「あの隣の島の、肉食の大黒鳥たちにも注意しなくちゃね。とくに小さな子供たちが心配だなぁ。それというのも、彼らの好物だった川の魚がかなり減ってしまったせいだよ。この森は幸いなことにフクロウ爺さんや狐くんたちも、たまの魚食以外は果実食中心になってしまって、今ではこんなに平和になったけれどもね・・・平和?いやいや、猿たちの争いがまだ解決していなかった!まだまだ、心配事が絶えないよ・・・」
と熊パパは、深刻そうな顔をして腕組みをして、しばらく考えごとをしていたよ。Picture80blog


その次の日・・・熊パパがフクロウ爺さんにモモの話をすると、爺さんはこう話してくれたよ。
「乗っていた流氷が融けたって?ふんふん、さもありなんだ!シベリアからやってきた渡り鳥たちが話してくれたよ。最近、北の国でもいつもより暖かいってさ。それで、いろいろと不都合も起こっているらしいのじゃよ」

「ふーん、今世の中ではいろいろなことが始まっているんだね」
「そうじゃよ。本当にこれからどうなる事やら・・・」

さて、このかわいい子豚のモモちゃんの話はまた後でね。
それにしても、あの白熊母子は、無事に北の氷の国に戻れるのかな?

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