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2008年5月11日 (日)

<童話>熊パパと森の仲間たち④熊パパと狐の友情

ある星の美しい夜に・・・
熊パパは、星空の彼方を見つめながら、子豚のモモに静かに話し始めたよ。
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「僕の母さんはね、ほんとうに心の優しいすてきな母さん熊だったよ。

僕の子供の頃、こんなことがあったんだ。
ある夕方、僕と妹がお腹をすかせて母さんの帰りを待っていたら・・・母さんがとてもあわてた様子で巣穴に帰ってきて、穴の奥にあった薬草を急いで取り出したんだ。
それから僕たち子供に、いつもの優しい笑顔でこう言ったんだ。

『さあ、私の大好きな子供たち!一緒についていらっしゃいな。これから二人に、ちょっと手助けをしてもらいたいのよ』

そして三人で、山道を大急ぎで駆けて行ったんだ。
着いた場所は、小さな巣穴の前だったよ。そしてその穴の少し手前に、瀕死の重傷を負った狐の母さんが倒れていたんだ。僕の母さんは、大事に持って来た薬草で、狐の母さんの体を心をこめてこすったよ。
それから、別の薬草の根を狐の母さんになめさせたんだ。


狐の母さんは、苦しそうにハアハア言っていたよ。そして小さな声で僕の母さんの耳元で『もう駄目!どうか私を食べてうんと元気になって!私は、どうせ助からないの。でもお願い!そのかわり、私の二人の子供たちの面倒を見てほしいの』そう言うと静かに目を閉じたよ。


『そんなことを言わずに頑張るのよ。あなたの大事な子供たちのためにもね。それに私の好物は果実なの。あなたを食べたりしないわ』
僕の母さんはそう言いながら、私たちに目配せをして、そばにくるように言ったの。
『お前たち、すぐにそこの巣穴に入って、子狐たちを連れ出して来るのよ。母さんが声をかけても、子どもたちは怖がって決して出て来ないの。子供は子供同士。ほら、急いで連れてくるのよ。やさしくやさしく話しかけるのよ』

それでね、僕と妹が急いで狐の穴に入ると、穴の奥で幼い狐の兄弟が抱き合って、怖がっていたんだ。
『ねぇ、君たち!安心してよ。何も怖くないよ。とにかく早く穴の外に出て!君たちの大好きな母さんがね、大怪我をして穴のそばで倒れているんだよ。嘘じゃないよ。僕たちを信じて!』
『そうなの・・・大丈夫よ、信じて!狐の母さんは、あなたたちに会いたいって、言っているのよ』

必死でそう話すと、子狐たちはすぐに一緒に穴を出てくれたんだ。

そして、子狐たちと狐の母さんは抱き合って、永遠のさようならを言ったんだよ。


天国へ行った狐の母さんを巣穴にそっと寝かせてあげて、近くに咲いていたお花を体にかけてあげて、それから土で入り口をしっかりふさいでから、近くに落ちていたドングリの実を入り口の手前の土に埋めたんだ。

「ここに、来年は緑の芽が出るでしょう!お墓の目印になるように、ここに石を丸く置きましょう。そして、明日夜が明けたら、母さんはいい香りの花を持ってきてここに植えることにするわ。さあ、来年の春に、また皆で来ましょうね」

母さんは狐の母さんにしっかり約束したように、泣いている子狐の兄弟を背中に乗せて、一緒に連れて巣穴に帰ったんだ。その夜、母さんは子狐の兄弟を抱いて眠ったよ。
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だからね、僕たちは子狐の兄弟と一緒に育ったんだ。母さんは、僕たちよりもずっと小さかった子狐の兄弟のために、まだ少し出ていたおっぱいをあげたり、とてもいっしょうけんめい面倒を見たんだよ。

母さんは、僕たち四人の子供たちのために、毎日木や草の果実をたくさん探してくれたよ。
森の猿の母さんたちからも「子供たちに食べさせて!」と、しばしば木の実の差し入れがあったんだ。
今はね、その狐の兄弟はこの森の別のところに住んでいるけれども、お互いに困った時にはいつでも助け合っているのさ。


僕たちの母さんが、やがて年を取って死を迎えた時、天国から狐の母さんが迎えにきてくれたんだよ。やはり、星の美しい夜だった・・・。

『熊の母さんありがとう、これまでのことぜんぶ天国から見ていたわ。あなたも、ゆっくり休む時がやってきたのね。お迎えに来たわ、一緒に行きましょう!』
今夜のように、星の美しい夜だったよ。

二人は寄り添うように、星空高く昇っていったんだよ。そしていつしか見えなくなったんだ・・・。僕は、悲しみの中にも、ほっとした安らぎの気持ちを感じていたよ。Picture106blog

狐さんたちはね、僕たちと一緒に果実をたくさん食べて育ったせいで、果実が大好きになっていて、今も果実ばかり食べているんだよ。そして、ほかの狐たちも今では皆、年に一度のご馳走である冬の産卵後の鮭以外は、果実や草の茎やら花の蜜ばかり食べるようになったんだよ。おかしいね・・・」

「ふふふ・・・実は私も狐さんたちと一緒よ。私は生まれてからずっと、人間から貰う餌だけを食べてきたけれども、ここに暮らし始めて、私も今では果実や蜂蜜が大好きよ。そして果実を食べ終わったら、熊パパに教わったように、必ず種を土に戻すようにしているわ。来年の春、たくさんの木や草の芽の赤ちゃんが生まれるのが楽しみよ」

「この森の住人の動物たちが皆、果実を大好きになっていて大切に思っているせいで、この森の果実のなる木もずいぶん増えたよ。ふくろう爺さんが、渡り鳥たちに『おいしい木の果実があったら、どうか種を来年来た時にこの森に落としていっておくれ!』って頼んでくれたせいもあって、いろいろな果実の木も増えたしね。

この森の動物たちが仲良しなのは、皆が果実食をして、いわゆる肉食動物がいなくなったせいもあるよ。
ただ最近になって、急に枯れて倒れてしまう木が増えているのが、心配の種なんだ。多くは年寄りの木なんだけど、知恵者のふくろう爺さんの話によれば、原因はこの空気や水のまずさにあるらしいんだ・・・そして、その元凶は人間にあるというのだ」

「この平和な森でも、私のような子供には理解できない、たくさんの難しい困りごとがあるのね!でも熊パパだったら、うまく解決できそうな気がするわ。熊パパがんばってね!」
子豚のモモちゃんは、そう言うと、にっこり笑いました。


「おやおや、狐くんの話をしていたら・・・狐くんがやってきたよ。

おーい、狐パパどうかしたの?」
「熊パパ、ちょっと相談にのってほしいんだ」と、狐パパが言いました。


いったい何の相談だろう?最近この森にも、いろいろな問題が起こり始めているんだ。

隣の島の大黒鳥のこともあるし、猿たちの内輪もめのこともあるしね。
この森では、熊パパとふくろう爺さんとこの狐パパが、森の相談役になっているよ。何か問題が起こった時は、誰でもまずこの三人に話すんだ。はじめに三人が集まって相談して、それから、森の仲間を集めて話し合いをすることにしているよ。Picture109blog

熊パパと狐パパは、熊パパお気に入りの木の枝に腰掛けて、真剣に話し始めたよ。
子豚のモモちゃんはすでに巣に戻っていて、子熊たちに寄り添ってスヤスヤ眠り始めたみたい。

狐パパが話し始めたよ。
「熊パパ、隣の島の大黒鳥の最近の行状をどう思う?あのやせぽっちの子豚のモモちゃんも、すんでのところで食べられそうになったし・・・。じつはね、この間もうちのチビが湖のところで遊んでいたら、突然に空からあの鳥に襲われそうになったんだ。でも、近くにいた猿の母さんたちが、硬い木の実を急いで鳥の目めがけてぶつけてくれたので、危うく逃げることができたらしい。チビたちには、くれぐれも湖に近づいちゃいけないと、きつく言い聞かせていたのだが・・・」

「この森は、あの湖の上以外はこんもりと木が茂っていて、上空からは森の下の様子がわからないのだけれどもね。子供は好奇心旺盛だし、ついつい湖に行ってしまったのだろう。この間は、ウサギの子供が狙われて、大怪我をしたんだ。水鳥の雛たちも時々数羽まとめてやられているしね」
こう言うと、熊パパは腕組みをして考え込んだよ。

「ただね、この森以外のところでは、弱肉強食が普通のことなんだよね。私たち狐族やふくろう族も本来は、小動物を食べて生きてきたんだし。だから、あの大黒鳥も家族がいて、餌を探さなくてはいけないのだろうから、一概に悪者にできないんだけれどもね」
狐パパも、腕組みをして目を閉じて、真剣に考えていたよ。

「さらに、大黒鳥の大好物の川魚が近頃減っているらしいからねぇー。とはいえ、あの大黒鳥はちょっと乱暴過ぎるよ。この森の仲間を殺されることは決して許すことはできないんだ!
さてさて、どうしたものだろう?」


「おやおや、お前さんたち、何をそんなに悩んでいるのじゃ?ホーホーホ」

ふくろう爺さんの出番だよ!こんな時のふくろう爺さんの声は、いつも熊パパの気持ちをほっとさせるんだ。
熊パパから、話を聞いてふくろう爺さんも、しばらく枝に止まって身動きせずに何かを考えていたよ。

「よし決まった!あの大黒鳥の子供たちに、お腹いっぱい木の実を食べさせて、木の実大好き鳥にしてしまうんじゃ!」ふくろう爺さんが、突然こう言ったよ。

「えっ?」「爺さん!どうやって?」


「親たちが必死で餌探しをしている間に、たくさんの木の実をお腹を空かせている子供たちの巣に持っていくんじゃ。わしがその役を引き受けるぞ!わしの仲間にも応援を頼むぞ!あの大黒鳥の親たちの数は、せいぜい数羽しかしないはずじゃ」


「そうなんだよね。ある日、大黒鳥の2家族がひょっこりどこからかやってきて、あの島に住み始めたんだ」

「ふんふん、まずはハタオリ鳥たちに頼んで、特製の大きな袋を数個編んでもらうことにしよう。
熊パパと狐パパは、森の仲間に声をかけてなるべくたくさんの木の実を集めておくれ!
木の実が集まったら、その大きな袋に入れて、それをわしが足でつかんで隣の島までとんでいくのじゃ。そして、親鳥が帰ってくる前に、子供たちのお腹をいっぱいにしてしまうんじゃ。ハハハ・・・親たちの困った顔が見ものじゃ!だってな、せっかくの獲物を子供たちが見向きもせんのじゃからな!」

「でも、それだけじゃ、今すぐの解決にならないでしょう?」と、不安げな狐パパ。

「そうじゃ!すぐには効果がでないじゃろう。しかし、その子供たちが大人鳥になった時を考えてごらん!きっとその鳥たちは、自分の子供たちに、木の実をたくさん取ってきて食べさせるじゃろうて。けっして小動物ではないはずじゃ。さらにその子供も、木の実大好き鳥になるはずじゃ。ハハハ
それからと・・・渡り鳥たちに、木の実の種をあの島で落とすように頼むことにしよう!わしも、この森で食べた果実の種を、当分あの島におとすことにするぞ!これから先も大黒鳥の子孫が、木の実の食事に困らないようにするのじゃ」
と、ふくろう爺さんが自信満々に言ったよ!

「さすが、ふくろう爺さんだ!たしかに将来的にも、これが一番うまい解決法かもしれないね」
と熊パパは、またまたふくろう爺さんを尊敬してしまったよ。

「そして、当座はじゃな、子供たちに肉食動物の怖さを教えてやりなさい。これから先、どんなことを経験するかわからないのだから、肉食獣対策もしっかり覚えておくべきじゃよ。猿たちにも、これまで以上に空の警戒を頼もう!そのためにも、猿たちの仲たがい問題を解決せにゃなるまい。あーあー頭が痛いのうー」

ここまで話すとふくろう爺さんは、ホーホと一声啼いて、どこかに飛んでいってしまったよ。爺さんは体の大きなふくろうなので、大黒鳥の雛なんてまるで平気なんだ。

それからね、ハタオリ鳥たちは、数年前に遠くの島からやってきて、この島に暮らしはじめたんだよ。何でも長年棲んでいた森が、火事で焼けてしまったらしいんだ。この話を聞いたふくろう爺さんは「ふんふん、これも人間が原因かもしれないんじゃ」と言っていたよ。Picture105blog


この森の湖には、たくさんの水草があって、それがここの水鳥たちや渡り鳥の餌になっていたよ。小魚も少しいるけれども、それも一部の渡り鳥たちの命を支えていたんだ。大きな魚はいなかったので、あの大黒鳥の餌にはならなかったんだ。でも子狐やウサギやリスなどの小動物たちは、狙われていたよ。でも、いつも湖の岸近くの木の上にいる猿たちが気づいてくれて、追い払ってくれていたんだ。ただね、ちかごろは猿たちの仲間割れのせいで、この湖付近に住んでいた猿たちの多くが、川のある方へ移動してしまったんだ。


「ねぇ、狐パパ!子供たちのために、あの湖の岸べに、水生林を作ろうよ。水に強い木の種をたくさん植えるんだ。そうすれば、子供たちが遊べる水辺の場所を作れるよ。安心して水も飲めるしね」

「そうだね。この種も、ふくろう爺さんにお願いしようか。これから先、また別の肉食の大型鳥がどこかからやってくるかもしれないしね。水鳥たちも水生林の下で、安心して子育てができるだろうし。そういえばこの前、爺さんからマングローブという水生林の話を聞いたばかりだったね」

「では、そうしよう!さて、夜も更けたし寝るとしようか。明日皆を集めて話をしようね」

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コメント

さっそくブログ拝見しました!!素敵なブログですね。絵もすばらしいです~。童話も書くのですね~わたしは子育て支援の仕事をしていて絵本は大好きなので感動しました。今度ゆっくりお話したいです♫♬ (ღ◕ܫ◕)ノよかったらかんぺいのホームページも見てください!!写真ばかりですが…

投稿: かんぺい | 2011年6月 4日 (土) 08時00分

かんぺいちゃんのママだぁーhappy01

ようこそ・・・・notes
じつはね、僕のママもかんぺいちゃんのママのホームページを見ていたところだよ。
かんぺい君も、毎日たくさんお友だちに囲まれているんだね。友だちって本当に素敵だよね。

僕のママは、お祖父ちゃんが亡くなって札幌に引っ越してきてから、童話も旅行記も書けなくなっているみたいだよ。
想像力がすっかり低下しているんだって。

今は、僕の日記を代筆してくれているだけなんだ。

かんぺいちゃんのママは、すばらしいお仕事をしているんだね。僕のママがうらやましそうな顔をしていたよ。wink

僕のママは、札幌ではあまりお友だちが多くないんだ。
だからよろしくね。lovely

   ショパン heart04

投稿: ショパン | 2011年6月 4日 (土) 15時23分

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