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2008年9月 7日 (日)

インド旅日記 (6) 豊満な女神たち

   2000年 9月26日 
  ~~~アウランガバードの窟院とミニ タージ~~~

(マミー ブルー記)P9260317_2
アウランガバードの窟院群は、町から少し離れたところにあり、仏教窟である。見事な彫刻が残っているが、その特徴は豊満な女神像であろう。これについては、写真に語ってもらおう。P9260308 P9260300

「ここで修行したら、いい坊さんになれるだろう」と思った。それは、これらの窟院群の環境のすばらしさのせいである。緑の山腹にうがたれた僧院からは、遠くアウランガバードの町を見渡すことができる。静寂を破るものは、岸壁から流れ落ちる小さな滝の音ばかりである。座禅でも組んでいきたいところだが、先を急がねばならない。P9260321


(夕日記)
この洞窟寺院群は、エローラとアジャンタの有名度の陰に隠れて、訪れる人の少ない場所である。それが幸いして、凛とした静けさが心にゆっくりとしみわたってきて・・・とても心地よい。P9260297

ポトポト・・・  ポトポト・・・
小さな小さな水の流れがある。窟院の入口へと岸壁を伝わってきたり、あるいは地中から岩肌にしみ出てきた、その細い細い水の流れは、ここに来て空中に舞い落ちる。

ポトポト・・・  ポトポト・・・
規則的なリズムを作って、やさしい水音となってあたりに響く。
心がすみきって、おだやかな気持ちになる・・・。P9260322


(マミー)
次に訪れたのは、ムガル帝国時代の廟。ビービー・カ・マクバラーと長ったらしい名前が付いているが、そんなことはどうでもよい。かの有名なタージ マハルをモデルに作られたものだ。しかし膨大な国費をかけて建設したあのタージ・マハルのおかげで、この国の財政はすでに傾いていた。そこで、この廟にはそれほど国費をかけられなかったとか。P9260324

中央のドームだけが本物の大理石で、残りは石に漆喰を塗ってある。漆喰は黒ずんで、素人が見てもタージとの差は歴然としている。それでも、青空と雲を背にして立つ八角形の塔は、なんともいえず美しい姿をしている。P9260336

塔というものは重力を考慮して建てられているから、目には見えないが、地球の中心から伸びる直線が塔の中央を貫き、頂上からはるかな虚空へと伸びていることになる。重力に耐える安定感が、塔の美しさを生むのではないか。

だから、昨日見た岩山彫刻のカイラーサナータの石の塔は、如何に時間をかけたにしても、重力を無視しているから美しさにかけると思う。もちろん、彫刻の好きな人が見れば別な考え方をするだろうし、人それぞれ自分の感覚があるのは自然なことである。筆者としては、ガイドブックの賛辞をそのまま鵜呑みにするつもりはない。残念ながら、あのエローラのカイラーサナータ寺院は好みに合わない。


(夕日)
ビービー・カ・マクバラー廟を造った王は、父親の王が巨額の金をかけて造ったタージ・マハルを模倣して、同じく自らの妃のためにもこの廟を造ろうとしたのだが、なにぶんにも建築費が足りなかった。そこで今はやりの?手抜き工事である。
後半の旅日記のアグラ城のところで話すが・・・この父息子の間には、大きな確執があったのだ。そして、父王は息子によって城の塔内に幽閉されたのだ!そして父王は・・・

じつは最初、このビービー廟の存在を知った時、ひどくがっかりした。
「えっ何?これって、タージ・マハルそっくりじゃない?そんなぁ~、先に本物を見たいのに!こんなものを見た後は、本物を見た時に感動が薄れるわ。嫌だなぁ!」
写真を見た時点では、余りの酷似にショックさえ受けていた。P9260331

しかし我々観光客は、ともかく観光プランに沿って動かなくてはいけない。不安な思いで、しかたなく見学に出かけた。
ガイド氏は「イヤイヤ、大丈夫です!タージ・マハルの美しさは、このそっくりさんを見た後でも、決して変わりませんよ。その美しさには、大きな感動を受けるはずです!」と、慰めてくれた。

でも私は、やはり不安だった。なにしろ20年来の初恋の存在の、贋物に出逢うようなものだから。「本物がいいよぉー」と心でずっと思っていた。


(マミー)
黄色い衣をまとった一団(僧侶)をさりげなく撮影しようとしたが、やはり写真を嫌うのだろうか、カメラやビデオを避けるように、木陰に隠れてすれ違って行った。P9260326

廟の入口の門は六角形の建物で、イスラム式のアーチを持っている。内壁には美しいタイルが貼られ、高いところにはさまざまな形の美しいくぼみが付けられている。征服王朝がウズベクから持ち込んだものである。春のウズベキスタンを思い出していた。P9260333 P9260332

この廟は、市民の憩いの場なのだろうか、大勢の人が行き交っている。塀の外を見ると、きれいな芝生が広がり、一群の若者が、座ったり寝転んだりしている。カメラを向けるとポーズを取ってくれる。この町には大学があるが、多分そこの学生たちだろう。P9260361


(夕日)
お坊さんとか・・・ともかく、ふつうにはビデオカメラを向けにくい対象の場合、私の採った方法はこうである。マミー氏に、その被写体の近くをゆっくり歩いて貰うのだ。「笑って!」「もう少し右!」とか、いい加減なことをいいながら、一見はマミー氏を撮るように見せて・・・実際には目的の被写体を撮るのだ。望遠を使えば・・・かなりバッチリと撮れる!

この手を使って、かなりいろいろな人々を映像に収めることができた。最近のビデオカメラは、大きな液晶画面をチラチラ眺めるだけでも、きれいな映像を撮ることができるので・・・通常のカメラよりも誤魔化せるのだ。P9260352


見学者の中に、美しく着飾った若い夫婦が、生まれて間もない赤ちゃんを連れている姿が目に入った。ビデオカメラを向けると、うれしそうにポーズをとって下さる。こちらの人達は、私たち外国人観光客がカメラを向けると、とても喜んで下さることが多い。これが日本だったら?たぶん「何よ、私たちを撮したら承知しないわよ」と、言われかねない気がするが。P9260354

この廟は、市民の憩いの場所となっているらしくて・・・本当にたくさんの家族が連れ立って見学にやってくる。誰もが、精一杯のおめかしをしている。こんな場所へ高い入場料を払って来られる人達は、カーストの上の方の人々が中心なのだろう。
その日その日をやっと食べている貧しい人たちは、とてもそんなゆとりはないのだ。

廟の脇にある広い芝生で、円座になっていた大学生らしいグル-プは、とても気さくで、「○△!」「○△××?」と、カメラを構えた私たちの方に向かって、手を挙げたりポーズをとったりして呼びかけてくれた。女性も混じっている。この町には、大学があるのだ。P9260351

ウズベキスタンで懲りたので・・・大勢の人たちのいる場所では、ポラロイドカメラを出さないことにしていた。あの時は「私を撮って!」「僕も僕も!」「いやいや、俺と家族を撮ってくれ!」と、私の周りに数十人の人々がどっと群がり、身動きできないほどだった!

廟の中を見学している家族は、カメラ持参組が多かったものの・・・廟の周りの屋台付近には、撮してあげたい人達がたくさんいた。人ごみ騒ぎはもうごめんだったので、今回はポラロイドカメラで写してあげることに、ひどく慎重になってしまっていた!P9260367



(マミー)
廟の近くには屋台が並び、椅子がいくつも置かれている。屋台にはにぎやかに文字が書いてあるが”WELL COME”以外はヒンディー語だからわからない。P9260364
道のむこうには売店がある。ペプシコーラの看板もあるが、店先に積み上げられているのはコカコーラ。真っ赤なパラソルもコカコーラだし、どうもペプシは旗色が悪そうだ。P9260368

屋台では飲み物以外に、簡単な食事も提供している。麺類のようなものが何種類か並べてあるが、豆とか米とか、それぞれに材料が違うらしい。P9260369b

この後、ガイドが特産の織物工場に誘うが、どうもこのガイドは胡散臭い。織物を買わせて、リベートを稼ぐつもりだろう。多少疲れてもいるので、真っ直ぐホテルへ帰って休むことにした。部屋へ戻って間もなく、激しい雨音が聞こえ出した。早く帰ったのは正解だった。明日の朝はいい天気になっているだろう。


(夕日)
(今回のお客さんは、ずいぶんケチだ!)ガイド氏は、そう思ったことだろう!しかし私たちは、お土産を最小限しか買うつもりがなかった。狭い我家の中には、これ以上何かを飾るスペースもないし・・・ごく親しい人たちへのお土産にしても、ほんの少しだけ買う予定だった。
私たちは、買う気もないのに、織物工場と併設売店(高価な品物ばかり?)の見学で、大切な観光の時間を使う気にはなれなかったのだ。P9260287

しかし、これが団体旅行だったら・・・有無を言わさず、連れて行かれたはずだ。二人旅行のおかげで、時間をとても有効に過ごせた。団体の場合、トイレ休憩とお土産物買い休憩に、信じがたいほど時間をとられてしまう。私たちは、この後も二人だけの特権を生かして、いろいろと予定外の場所を訪問したりしたのだ。これについても後で少し話そう。P9260288

観光の場所への途中で、何回か小さなホテルでトイレ休憩をしたが、とある小さなホテルの売店で、気に入った民芸土産品をかなり値切って買った。日本円にして3000円ほどなのに車に戻った時、数人のお店の人がわざわざ見送りに出て来てくれたのには、びっくり。

店主が私たちの車の運転手さんに、小さな紙袋をそっと手渡しているのにも気づいた。
「ここに、お客さんを連れてきてくれてありがとう。またよろしく頼む!」
こんなお礼の意味を込めた、なにがしかのお金であろうか?たった3000円とは言え、インドの庶民にとっては、結構な金額なのだろうし・・・ちょうど観光客が少ないオフシーズンだったようだ。


観光を終え、ホテルのお部屋でくつろいでいたら・・・とつぜんに、大きな雨音。
でも、その激しく降り続いた雨のおかげで、翌日のアジャンタ観光は思いがけない涼しさの中で・・・十分に楽しむことができた。
雨は、大気や木々の埃を洗い流し・・・熱気を見事に奪ってくれる!しみじみと、雨の効用を感じた日でもあった。

さて、アジャンタでは・・・?

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