カテゴリー「創作童話(2)<熊パパと森の仲間たち>」の記事

2008年5月11日 (日)

<童話>熊パパと森の仲間たち④熊パパと狐の友情

ある星の美しい夜に・・・
熊パパは、星空の彼方を見つめながら、子豚のモモに静かに話し始めたよ。
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「僕の母さんはね、ほんとうに心の優しいすてきな母さん熊だったよ。

僕の子供の頃、こんなことがあったんだ。
ある夕方、僕と妹がお腹をすかせて母さんの帰りを待っていたら・・・母さんがとてもあわてた様子で巣穴に帰ってきて、穴の奥にあった薬草を急いで取り出したんだ。
それから僕たち子供に、いつもの優しい笑顔でこう言ったんだ。

『さあ、私の大好きな子供たち!一緒についていらっしゃいな。これから二人に、ちょっと手助けをしてもらいたいのよ』

そして三人で、山道を大急ぎで駆けて行ったんだ。
着いた場所は、小さな巣穴の前だったよ。そしてその穴の少し手前に、瀕死の重傷を負った狐の母さんが倒れていたんだ。僕の母さんは、大事に持って来た薬草で、狐の母さんの体を心をこめてこすったよ。
それから、別の薬草の根を狐の母さんになめさせたんだ。


狐の母さんは、苦しそうにハアハア言っていたよ。そして小さな声で僕の母さんの耳元で『もう駄目!どうか私を食べてうんと元気になって!私は、どうせ助からないの。でもお願い!そのかわり、私の二人の子供たちの面倒を見てほしいの』そう言うと静かに目を閉じたよ。


『そんなことを言わずに頑張るのよ。あなたの大事な子供たちのためにもね。それに私の好物は果実なの。あなたを食べたりしないわ』
僕の母さんはそう言いながら、私たちに目配せをして、そばにくるように言ったの。
『お前たち、すぐにそこの巣穴に入って、子狐たちを連れ出して来るのよ。母さんが声をかけても、子どもたちは怖がって決して出て来ないの。子供は子供同士。ほら、急いで連れてくるのよ。やさしくやさしく話しかけるのよ』

それでね、僕と妹が急いで狐の穴に入ると、穴の奥で幼い狐の兄弟が抱き合って、怖がっていたんだ。
『ねぇ、君たち!安心してよ。何も怖くないよ。とにかく早く穴の外に出て!君たちの大好きな母さんがね、大怪我をして穴のそばで倒れているんだよ。嘘じゃないよ。僕たちを信じて!』
『そうなの・・・大丈夫よ、信じて!狐の母さんは、あなたたちに会いたいって、言っているのよ』

必死でそう話すと、子狐たちはすぐに一緒に穴を出てくれたんだ。

そして、子狐たちと狐の母さんは抱き合って、永遠のさようならを言ったんだよ。


天国へ行った狐の母さんを巣穴にそっと寝かせてあげて、近くに咲いていたお花を体にかけてあげて、それから土で入り口をしっかりふさいでから、近くに落ちていたドングリの実を入り口の手前の土に埋めたんだ。

「ここに、来年は緑の芽が出るでしょう!お墓の目印になるように、ここに石を丸く置きましょう。そして、明日夜が明けたら、母さんはいい香りの花を持ってきてここに植えることにするわ。さあ、来年の春に、また皆で来ましょうね」

母さんは狐の母さんにしっかり約束したように、泣いている子狐の兄弟を背中に乗せて、一緒に連れて巣穴に帰ったんだ。その夜、母さんは子狐の兄弟を抱いて眠ったよ。
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だからね、僕たちは子狐の兄弟と一緒に育ったんだ。母さんは、僕たちよりもずっと小さかった子狐の兄弟のために、まだ少し出ていたおっぱいをあげたり、とてもいっしょうけんめい面倒を見たんだよ。

母さんは、僕たち四人の子供たちのために、毎日木や草の果実をたくさん探してくれたよ。
森の猿の母さんたちからも「子供たちに食べさせて!」と、しばしば木の実の差し入れがあったんだ。
今はね、その狐の兄弟はこの森の別のところに住んでいるけれども、お互いに困った時にはいつでも助け合っているのさ。


僕たちの母さんが、やがて年を取って死を迎えた時、天国から狐の母さんが迎えにきてくれたんだよ。やはり、星の美しい夜だった・・・。

『熊の母さんありがとう、これまでのことぜんぶ天国から見ていたわ。あなたも、ゆっくり休む時がやってきたのね。お迎えに来たわ、一緒に行きましょう!』
今夜のように、星の美しい夜だったよ。

二人は寄り添うように、星空高く昇っていったんだよ。そしていつしか見えなくなったんだ・・・。僕は、悲しみの中にも、ほっとした安らぎの気持ちを感じていたよ。Picture106blog

狐さんたちはね、僕たちと一緒に果実をたくさん食べて育ったせいで、果実が大好きになっていて、今も果実ばかり食べているんだよ。そして、ほかの狐たちも今では皆、年に一度のご馳走である冬の産卵後の鮭以外は、果実や草の茎やら花の蜜ばかり食べるようになったんだよ。おかしいね・・・」

「ふふふ・・・実は私も狐さんたちと一緒よ。私は生まれてからずっと、人間から貰う餌だけを食べてきたけれども、ここに暮らし始めて、私も今では果実や蜂蜜が大好きよ。そして果実を食べ終わったら、熊パパに教わったように、必ず種を土に戻すようにしているわ。来年の春、たくさんの木や草の芽の赤ちゃんが生まれるのが楽しみよ」

「この森の住人の動物たちが皆、果実を大好きになっていて大切に思っているせいで、この森の果実のなる木もずいぶん増えたよ。ふくろう爺さんが、渡り鳥たちに『おいしい木の果実があったら、どうか種を来年来た時にこの森に落としていっておくれ!』って頼んでくれたせいもあって、いろいろな果実の木も増えたしね。

この森の動物たちが仲良しなのは、皆が果実食をして、いわゆる肉食動物がいなくなったせいもあるよ。
ただ最近になって、急に枯れて倒れてしまう木が増えているのが、心配の種なんだ。多くは年寄りの木なんだけど、知恵者のふくろう爺さんの話によれば、原因はこの空気や水のまずさにあるらしいんだ・・・そして、その元凶は人間にあるというのだ」

「この平和な森でも、私のような子供には理解できない、たくさんの難しい困りごとがあるのね!でも熊パパだったら、うまく解決できそうな気がするわ。熊パパがんばってね!」
子豚のモモちゃんは、そう言うと、にっこり笑いました。


「おやおや、狐くんの話をしていたら・・・狐くんがやってきたよ。

おーい、狐パパどうかしたの?」
「熊パパ、ちょっと相談にのってほしいんだ」と、狐パパが言いました。


いったい何の相談だろう?最近この森にも、いろいろな問題が起こり始めているんだ。

隣の島の大黒鳥のこともあるし、猿たちの内輪もめのこともあるしね。
この森では、熊パパとふくろう爺さんとこの狐パパが、森の相談役になっているよ。何か問題が起こった時は、誰でもまずこの三人に話すんだ。はじめに三人が集まって相談して、それから、森の仲間を集めて話し合いをすることにしているよ。Picture109blog

熊パパと狐パパは、熊パパお気に入りの木の枝に腰掛けて、真剣に話し始めたよ。
子豚のモモちゃんはすでに巣に戻っていて、子熊たちに寄り添ってスヤスヤ眠り始めたみたい。

狐パパが話し始めたよ。
「熊パパ、隣の島の大黒鳥の最近の行状をどう思う?あのやせぽっちの子豚のモモちゃんも、すんでのところで食べられそうになったし・・・。じつはね、この間もうちのチビが湖のところで遊んでいたら、突然に空からあの鳥に襲われそうになったんだ。でも、近くにいた猿の母さんたちが、硬い木の実を急いで鳥の目めがけてぶつけてくれたので、危うく逃げることができたらしい。チビたちには、くれぐれも湖に近づいちゃいけないと、きつく言い聞かせていたのだが・・・」

「この森は、あの湖の上以外はこんもりと木が茂っていて、上空からは森の下の様子がわからないのだけれどもね。子供は好奇心旺盛だし、ついつい湖に行ってしまったのだろう。この間は、ウサギの子供が狙われて、大怪我をしたんだ。水鳥の雛たちも時々数羽まとめてやられているしね」
こう言うと、熊パパは腕組みをして考え込んだよ。

「ただね、この森以外のところでは、弱肉強食が普通のことなんだよね。私たち狐族やふくろう族も本来は、小動物を食べて生きてきたんだし。だから、あの大黒鳥も家族がいて、餌を探さなくてはいけないのだろうから、一概に悪者にできないんだけれどもね」
狐パパも、腕組みをして目を閉じて、真剣に考えていたよ。

「さらに、大黒鳥の大好物の川魚が近頃減っているらしいからねぇー。とはいえ、あの大黒鳥はちょっと乱暴過ぎるよ。この森の仲間を殺されることは決して許すことはできないんだ!
さてさて、どうしたものだろう?」


「おやおや、お前さんたち、何をそんなに悩んでいるのじゃ?ホーホーホ」

ふくろう爺さんの出番だよ!こんな時のふくろう爺さんの声は、いつも熊パパの気持ちをほっとさせるんだ。
熊パパから、話を聞いてふくろう爺さんも、しばらく枝に止まって身動きせずに何かを考えていたよ。

「よし決まった!あの大黒鳥の子供たちに、お腹いっぱい木の実を食べさせて、木の実大好き鳥にしてしまうんじゃ!」ふくろう爺さんが、突然こう言ったよ。

「えっ?」「爺さん!どうやって?」


「親たちが必死で餌探しをしている間に、たくさんの木の実をお腹を空かせている子供たちの巣に持っていくんじゃ。わしがその役を引き受けるぞ!わしの仲間にも応援を頼むぞ!あの大黒鳥の親たちの数は、せいぜい数羽しかしないはずじゃ」


「そうなんだよね。ある日、大黒鳥の2家族がひょっこりどこからかやってきて、あの島に住み始めたんだ」

「ふんふん、まずはハタオリ鳥たちに頼んで、特製の大きな袋を数個編んでもらうことにしよう。
熊パパと狐パパは、森の仲間に声をかけてなるべくたくさんの木の実を集めておくれ!
木の実が集まったら、その大きな袋に入れて、それをわしが足でつかんで隣の島までとんでいくのじゃ。そして、親鳥が帰ってくる前に、子供たちのお腹をいっぱいにしてしまうんじゃ。ハハハ・・・親たちの困った顔が見ものじゃ!だってな、せっかくの獲物を子供たちが見向きもせんのじゃからな!」

「でも、それだけじゃ、今すぐの解決にならないでしょう?」と、不安げな狐パパ。

「そうじゃ!すぐには効果がでないじゃろう。しかし、その子供たちが大人鳥になった時を考えてごらん!きっとその鳥たちは、自分の子供たちに、木の実をたくさん取ってきて食べさせるじゃろうて。けっして小動物ではないはずじゃ。さらにその子供も、木の実大好き鳥になるはずじゃ。ハハハ
それからと・・・渡り鳥たちに、木の実の種をあの島で落とすように頼むことにしよう!わしも、この森で食べた果実の種を、当分あの島におとすことにするぞ!これから先も大黒鳥の子孫が、木の実の食事に困らないようにするのじゃ」
と、ふくろう爺さんが自信満々に言ったよ!

「さすが、ふくろう爺さんだ!たしかに将来的にも、これが一番うまい解決法かもしれないね」
と熊パパは、またまたふくろう爺さんを尊敬してしまったよ。

「そして、当座はじゃな、子供たちに肉食動物の怖さを教えてやりなさい。これから先、どんなことを経験するかわからないのだから、肉食獣対策もしっかり覚えておくべきじゃよ。猿たちにも、これまで以上に空の警戒を頼もう!そのためにも、猿たちの仲たがい問題を解決せにゃなるまい。あーあー頭が痛いのうー」

ここまで話すとふくろう爺さんは、ホーホと一声啼いて、どこかに飛んでいってしまったよ。爺さんは体の大きなふくろうなので、大黒鳥の雛なんてまるで平気なんだ。

それからね、ハタオリ鳥たちは、数年前に遠くの島からやってきて、この島に暮らしはじめたんだよ。何でも長年棲んでいた森が、火事で焼けてしまったらしいんだ。この話を聞いたふくろう爺さんは「ふんふん、これも人間が原因かもしれないんじゃ」と言っていたよ。Picture105blog


この森の湖には、たくさんの水草があって、それがここの水鳥たちや渡り鳥の餌になっていたよ。小魚も少しいるけれども、それも一部の渡り鳥たちの命を支えていたんだ。大きな魚はいなかったので、あの大黒鳥の餌にはならなかったんだ。でも子狐やウサギやリスなどの小動物たちは、狙われていたよ。でも、いつも湖の岸近くの木の上にいる猿たちが気づいてくれて、追い払ってくれていたんだ。ただね、ちかごろは猿たちの仲間割れのせいで、この湖付近に住んでいた猿たちの多くが、川のある方へ移動してしまったんだ。


「ねぇ、狐パパ!子供たちのために、あの湖の岸べに、水生林を作ろうよ。水に強い木の種をたくさん植えるんだ。そうすれば、子供たちが遊べる水辺の場所を作れるよ。安心して水も飲めるしね」

「そうだね。この種も、ふくろう爺さんにお願いしようか。これから先、また別の肉食の大型鳥がどこかからやってくるかもしれないしね。水鳥たちも水生林の下で、安心して子育てができるだろうし。そういえばこの前、爺さんからマングローブという水生林の話を聞いたばかりだったね」

「では、そうしよう!さて、夜も更けたし寝るとしようか。明日皆を集めて話をしようね」

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2008年3月24日 (月)

<童話>熊パパと森の仲間たち③熊パパと子豚のモモ

熊パパが、山道をのんびりとお散歩中・・・。
背中には、仲良しのフクロウ爺さんをのせていたよ。

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フクロウ爺さんの知恵は、熊パパをいつも助けてくれているんだ。
今日もね、熊パパに世界のあちこちで起こっている話をしてくれたよ。
「それから渡り鳥たちの話によるとな、最近・・・・」と言いかけたフクロウ爺さんが、突然叫んだよ。
「おっ、あそこに誰か倒れておるぞ!急げ」

熊パパがあわてて近づいてみると、ピンク色の子豚が傷だらけになって倒れていたよ。呼びかけても返事がなかった。
「フクロウ爺さん、悪いけどちょっと背中からどいておくれ」
「あいよ~ホーホー」と、フクロウ爺さんはどこかに飛んでいったよ。

熊パパは、子豚を抱きかかえると、ゆっくりと立ち上がって歩き始めたんだ。そして、坊やたちの待つ巣穴までそっと運んだよ。巨木の根元の洞を利用した広い巣穴にね。
「坊やたち、この子は怪我をしているから、ここに静かに寝かせてあげようね。この子のベッドのために、やわらかい草をたくさん取ってきてくれないかな?」
「はーい、パパ!」
まもなく子熊たちは、近くの原っぱからたくさんの草と野の花を抱えてきたよ。

するとその様子を見ていた近くの木の上にいた猿の若者たちが、あわてて姿を消したかと思うと、やがて腕にたくさん何かを抱えてやってきたんだ。
「熊パパ、ここに果物を置いておくよ。その子に食べさせてね」

母さん猿たちも顔を出して「この葉っぱの汁を傷口におつけ!傷に良くきくよ」と。
リスの母さんたちも、木の実をそっと巣穴の前に置いて行ったよ。

「森の仲間はみんなやさしいな」と熊パパね、ちょっと涙ぐんだよ。熊パパは、ちょっと泣き虫なんだ!

熊パパは、果実を搾って子豚の口にたらしてあげたよ。それから、薬草の葉の汁で子豚の傷口をやさしく拭いてあげたよ。子豚は死んだように眠っているばかり・・・大丈夫かな?


しばらくしてフクロウ爺さんがやってきた。
「熊パパ!これからひと仕事じゃ・・・ホーホー さあ、わしについておいで!」
ずいぶん歩いてある木の下にやってくると、フクロウ爺さんが言ったよ。
「この木の上に、蜂の巣があるぞ。ちょっと頑張って蜂蜜を手に入れるんじゃよ」
熊パパは蜂に刺されながらも木によじのぼって、どうにか蜂の巣を手に入れたよ。
「さすがじゃ!この蜂蜜を子豚の体に塗ってあげなさい。それから蜂蜜をなめさせてあげなさい。もちろん熊坊やたちにもなめさせるといいさ」

その晩、子熊たちもたっぷりと甘い甘い蜂蜜をなめて、幸せな眠りについたよ。Picture86blog_3


翌朝、子豚は気がついたよ。
「助けていただいたのね。ありがとう。
わたしね、もう少しでハムにされて人間に食べられるところだったの。
それを、白熊母さんのおかげで助かって、必死で逃げてきたの」

「ふんふん・・・白い熊だって?この森でそんな仲間を見たことないなぁ。
でもね、その話は後でゆっくり聞かせてもらうよ。まずはもっと元気にならなくちゃね。さあ、この蜂蜜をなめてからもう少しお眠りよ」
と、熊パパはやさしい目をして語りかけたよ。


子豚は、そのまま次の朝まで眠ったよ。よっぽど弱って疲れていたんだね。翌朝目を覚ましたら、熊パパにこう話し始めたんだ。
「わたしはモモよ。わたし、白熊の母さんと坊やと一緒に、小船に乗ってこの島までやっと逃げてきたの。私だけがこの島に上陸して、坊やたちは白い氷の故郷を目指して帰っていったわ。無事に行き着けるかしら?」

「白い熊?白い氷の国?さっぱりわからないけど・・・これはあとで、フクロウ爺さんから教えてもらうとして・・・さあ、モモちゃんの身に、どんなことが起こったのか話して聞かせてほしいな」

「それは昨日の夜のことだったわ。白熊の母さんと坊やが、とつぜん私の小屋にやってきたの。
私その時、とっても悲しくてシクシク泣いていたの・・・。
すると、どこからかやさしい声がしたのよ。
『お嬢ちゃん、どうしたの?この小屋の前を通りかかったら、あまりに悲しげな声が聞こえてきたので、つい入ってみたの』

とつぜん目の前に、大きな白熊の母さんがいたので、びっくりしたわ。
でもすぐに坊やが、かわいい声で『こんにちは〰』と言ってくれたので、ちょっと安心したのよ。
『あのね、やさしいお母ちゃんとたくさんの兄弟たちが天国に行ってしまって、今度は私の番なの・・・シクシクシク・・・』
『どうしてあなたの家族が、みんな天国に行ってしまったの?』
『人間に食べられるためによ。ほら、あなたたちだって私を食べたいでしょう?』

そのとたんグウーと、坊やのお腹が鳴ったのよ。白熊母さんも、大きく唾を飲み込んだわ。
『あっ、ごめん!さっき魚を食べすぎちゃってさ、お腹が鳴ってしまったよ、ヘヘヘ・・・』
坊やは、あわててお腹を押さえたわ。
ふふふ・・・
私は泣き笑いをして『いいのよ、私を食べても。どうせ、まもなく殺されて、食べられてしまうのだから・・・』と言ってあげたの。
『ねぇ君!僕たちは君を食べやしないよ』
『そうよお嬢ちゃん。安心なさいな』

ググウゥ〰 
でもね、また坊やのお腹が鳴ってしまったの。
『ふふふ・・・』私は、なんだかおかしくなってしまって、つい笑ってしまったわ。
『この餌箱に、たくさんの餌が入っているわ。どうぞお食べなさいな。でもこの囲いを超えられるかしら?』
白熊母さんは、片足で囲いをバリっと壊してしまったわ。頼もしい母さん!
坊やは、餌をあっという間に平らげたわ。よっぽどお腹がすいていたのね。


『やさしい子豚さんね。ありがとう』
『白熊母さんも、お腹がすいているでしょう?こっちにも餌をたくさん隠してあるのよ。あまりおいしくないけれども、どうぞ食べて下さいな。私ね、いつも餌をたっぷり食べたふりをして、本当はほとんどの餌を隠していたの・・・』
『そんなことをしていたら、死んでしまうわ』と白熊母さんったら、心配そうに言ったの。
『いいのよ。いずれにしても、私は死ぬのよ。私の家族は毎日餌をたらふく食べて、コロコロに太ったら・・・シクシク・・・あのね、次々と殺されてハムにされてしまったの。だから私、ちょっぴりしか食べずに太らないようにしていたの。だから遠慮なくこの餌を残さず食べてくださいな』
体の大きな白熊母さんにとっては、ちょっぴりの量だったでしょうね。でも、幸せそうに餌を食べてくれたの。

うふふ・・・よかった!
それから三人で、いろいろおしゃべりしたわ」

「ふーん、白熊さんたちとどんなことを話したの?」熊パパが聞いたよ。

「白熊さんたちはね、どうしても白い氷の故郷に帰りたいと言ったの。
あのね、つい数日前まで、純白の氷の世界に住んでいたのですって。親子で大病をして意識を無くして、何日か流氷の上で眠っていたらしいの。
病気が良くなって意識が戻ってみると、突然見知らぬ緑の世界に来ていたということらしいの。大きかったはずの流氷がいつの間にか小さくなっていて、さらに溶けかかっていたらしいのね。それであわてて流氷から離れて、この島に泳ぎ着いたのですって。

夕暮れ時に岸に上がったら小さな村があったので、夜中まで岩陰に隠れていて、月明かりの中をゆっくりと歩き始めたら、一つの古ぼけた小屋から私の泣き声が耳に入ったというわけなのね・・・。

白熊さん親子さんたちのお食事がすんでから、どうしたら白熊さんたちが故郷に帰れるかって、いろいろ話し合ったの。
それで私は、ハッと思い出したわ。父さんが生きていた頃、よく話してくれたことをね。
『わが子たちよ。この小屋は、海という巨大な水の容れものの近くにあるのだ。村人たちは、小船というものに乗って、その海に魚を取りに行くのだよ。私も一度でいいから、あの小船に乗って広い海の探検に出てみたいものだ』

それで、白熊母さんにこう言ったの。
『小船というものに乗れば、故郷の海へ帰れるかもしれないわ。小船は、長い細長いオールという板を自由自在に動かして、海の好きな場所へ行けるのですって』
『じゃあ、それに乗っていくことにしましょう。あなたも一緒にここを逃げ出すのよ』
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夜明け前に三人で急いで外に出て、海に向かって走ったわ。

ああ、海って、なんてすごくて巨大なものだったことでしょう。父さんが話してくれた以上にすてきなものだったわ。ザンブ ザンブって、海が歌っていたわ。砂浜のところに、父さんの話してくれた小船がいくつかあったので、白熊母さんが乗れそうな小船を海まで押して行って乗り込んだの。三人とも疲れていて、そのまましばらく眠ってしまった・・・。

太陽がさんさんと降りそそぐお昼頃、私が目を覚ますと白熊母さんは、すでに起きていたわ。そして、小船の上には生魚のお食事が準備されていたわ。
私ね、初めてお腹一杯に食べたわ。もう太っても大丈夫って、心から思えたの。
白熊母さんが、オールを上手に動かしてくれたわ。波の荒いところでは、母さんが泳いで、小船を押してくれたの。母さんとても泳ぎが上手で、びっくりしたわ。

少し行くと、この島を通りかかったの。その時白熊母さんが私に言ったわ。
『この島のずっと奥に、緑にあふれた高い台地が見えるでしょう?そこには、たくさんの動物たちだけが住んでいるのですって。さっき海鳥に聞いてみたから確かなの。ホラ、あそこに幅の広い川があるでしょう?あの川をたどっていくと、あの台地に行き着くのですって。夕暮れになったら、この川を上って行きましょう』


それで私たちは小船の上で、じっとあたりが暗くなるのを待ったのよ。

『さあ、出発よ』薄暗闇の中で白熊の母さんは、船を下りて川を泳ぎながら、小船を上流へと押してくれたのよ。ずいぶん長い時間が過ぎわ。
すると突然に、川が巨大な岩みたいなもので遮られてしまって、通れなくなったの。でも白熊母さんはちっともあわてずに『これがダムとかいうものなのね。さあ、少しだけ頑張ってね。これから少し川幅が狭くなるの。海鳥が教えてくれた魚たち用の川道があるのよ。ああ、良かった。この川幅だったら小船が通れそうよ』
その細くて上りのきつい川を過ぎると、今度はびっくりするほど広くて大きい川に出たわ。それからまた上っていくと、川がだんだん細くなって急流になって、そしてやっとこの森のある台地の下に着いたの」

その話を聞いて、熊パパは不思議そうに言ったよ。
「でも、この台地は断崖絶壁に阻まれて、けっして川からもどこからも登れないはずだよ。まさか、あれを知っているはずはないし・・・ともかく、誰もここに来られないはずだよ」

「そうなの・・・いざ、台地の下まで行ってみて、白熊母さんも頭を抱えたわ。でも、さすが白熊母さんよ。台地に向かって、大声でこう叫んだの。
『お願い!誰か助けて!どうかこの子をそちらの森へ連れて行ってあげて!』

すると、たくさんの猿たちがはるか上の台地の木の蔭から顔を見せてくれたわ。そして素早くお互いの手と足をつなぎ合って、縄ばしごみたいなものを作って小船の下まで伸ばしてくれたのよ。
『さあ、この猿の体を順に登っていくのよ。そうしたらあの上まで行けるわ。勇気を出して!』
白熊母さんの力強い声に、私は勇気を出して、その猿のはしごを登り始めたの。

ところが、あと少しで台地の上に着くという瞬間、空の上からとっても大きな黒い鳥が降りてきて、私の体をむんずとつかむと空中に飛び上がったの。下の方で、白熊母さんと坊やの悲鳴が聞こえたわ。

すると突然、私の体にたくさんの木の実がぶつかるのと同時に、私の体を捕まえていた大きな爪が外されるのを感じたわ。そして気がついたら、私の体は木の枝にひっかっていたの。猿たちが、その私の体をなんとか下におろしてくれたのよ。
私は草の上に寝かされたことまでは、覚えていたけれども・・・はっと気がついたら、たくさんの猿たちが、私の顔を心配そうに見つめているのが見えたわ。

『大丈夫?たくさん切り傷があるけれども、大きな怪我はしていないみたいだよ。歩けそうかな?』
わたし、体中が痛かったけれども、頑張って立ち上がって、ゆっくり歩いてみたの。
『助けていただいて、本当にありがとう!何とか歩けそうよ。わたし、この森で暮らしたいの。どうしたらいいかしら?』

そうしたら『それだったら、熊パパのところへ行くといいよ』『そうだそうだ!それがいい』と皆が口々に言うのよ。
『僕たちは、理由があって熊パパの住んでいるところへは行けないから、一人でお行きよ。この道をまっすぐひたすら歩いていけば、熊パパの巣穴のある巨木の近くまで行けるよ。その巨木のすぐ近くには、小さな原っぱがあっていつも色とりどりの野の花が咲いているし、たくさんの美しい蝶々が飛んでいて、小さな池もあるからきっとすぐわかるよ。君の怪我は、熊パパがきっと治してくれるよ。頑張ってゆっくりと歩いていくんだよ』

それで私は、猿さんたちと別れて、必死で熊パパの巣穴をめざしたのよ。でも途中まで来ると、だんだんに気分が悪くなってきて何度何度も地面に倒れて・・・ふと気がついたら、何とこの巣穴にいたというわけなの。最初信じられなくて、夢をみているのかと思ったわ。
熊パパに会えて、本当に良かった・・・むにゃむにゃ」

モモは、そう一気に話し続けると、ほっとした顔をして・・・またうとうと眠ってしまったんだよ。

「あの隣の島の、肉食の大黒鳥たちにも注意しなくちゃね。とくに小さな子供たちが心配だなぁ。それというのも、彼らの好物だった川の魚がかなり減ってしまったせいだよ。この森は幸いなことにフクロウ爺さんや狐くんたちも、たまの魚食以外は果実食中心になってしまって、今ではこんなに平和になったけれどもね・・・平和?いやいや、猿たちの争いがまだ解決していなかった!まだまだ、心配事が絶えないよ・・・」
と熊パパは、深刻そうな顔をして腕組みをして、しばらく考えごとをしていたよ。Picture80blog


その次の日・・・熊パパがフクロウ爺さんにモモの話をすると、爺さんはこう話してくれたよ。
「乗っていた流氷が融けたって?ふんふん、さもありなんだ!シベリアからやってきた渡り鳥たちが話してくれたよ。最近、北の国でもいつもより暖かいってさ。それで、いろいろと不都合も起こっているらしいのじゃよ」

「ふーん、今世の中ではいろいろなことが始まっているんだね」
「そうじゃよ。本当にこれからどうなる事やら・・・」

さて、このかわいい子豚のモモちゃんの話はまた後でね。
それにしても、あの白熊母子は、無事に北の氷の国に戻れるのかな?

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2008年2月18日 (月)

<童話>熊パパと森の仲間たち②熊パパとフクロウ爺さん

フクロウ爺さんは、とても物知り。熊パパに、森で生きる知恵をたくさん教えてくれるよ。

爺さんは若い時から冒険家で、森から遠く離れたところまで飛びまわって、いろいろなことを見聞きしているよ。
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「熊パパ!ちかごろ川へ行っても、鮭が取れなくなっているだろう?」

「そうなんだよ。どうしてだろう?子どもたちは鮭が大好きなんだ。冬の前にはたくさん産卵後の鮭を食べて力をつけなくちゃいけないのにさ。いっとき全く鮭が川を上ってこないことがあったよ。でも最近は、少しだけやってくるようになったけれども・・・」

「ダムのせいじゃよ。あのはるか川下の人間の住む地域に、大きなダムができたんじゃ。でも心ある人間が、小さな川のような魚道というものを造ってくれたので、元気な鮭だけがそこを通ってこの付近までやっと来られるようになったんじゃよ」

「へぇ、そのせいで鮭が少なくなったのか」

熊パパが大きなため息をついて、首をすくめたよ。

「空が飛べるといいねぇ、世の中のことを自分の目で見られるなんて、いいな!」

「わしが見られる世界なんて、ほんのわずかさ。なによりも世界中を旅する渡り鳥たちの話が、わしの一番の知恵袋じゃよ。ホホー ホホー

鳥たちは長旅の途中の疲れを癒すために、この森の湖でひとときを過ごすのじゃ。

わしはいつも岸辺の低い木にとまって、彼らの話に耳を傾けるのさ。親しくなった渡り鳥の中には、わしの住んでいる木までおしゃべりをしに来たりするやつもおるがな。
なかには、嵐で傷ついてふらふらしている年老いた鳥もいるのじゃ。そんな時は、わしの薬草の知識をつかって治療してやるのじゃよ。ホホー ホホー」

「僕も渡り鳥と話をしてみたいな」
熊パパ、ちょっぴりうらやましそうだよ。

フクロウ爺さんと熊パパたちの住む森は、深い川に沿って切り立った高い崖の上の広大な台地の上にでき上がっていて、その反対側は海に面した高い断崖絶壁なんだよ。だから人間の住む遠くの低い土地からは、全く遮断されているのさ。おまけにその地域に住む人間たちは、この台地の森に精霊が棲むと信じているので、決して近寄らないのさ。それにこの急峻な崖を登ることは不可能だから、この森には鳥以外の生き物は入ってこられないしね。この台地の森の真ん中に澄んだ美しい湖があって、渡りをしない水鳥たちが、いつも幸せそうに泳いでいるよ。渡り鳥たちも、ここで休息していくんだ。

熊パパは秋の終りに、産卵を終えて眠りに着いた鮭を取る時だけ、秘密の通路を使って川に下りるんだよ。でもこの話はまたあとでね。


「ホホー ホホー 人間の住む地域では、食べられる木の実が減り始めているんじゃ。あちらにすむ動物たちは、さぞかし困っていることじゃろうて。これは森林が減り始めているせいだ。人間が大量に森林の伐採をしておるのじゃ。近頃この森の空気までまずくなっていると思わないか?そして、雨も汚れはじめておるぞ。そのせいで、この森の木も少しずつ死にはじめておるんじゃ」

「たしかに、この森の立派で元気な大木が、突然バッサリと倒れるのを何度か見ているよ。僕の父さんも、木の実を取ろうとして木に登って、木ごと倒れて死んでしまったんだ。僕のまだ小さかった時にね
熊パパは、腕組みをして考え込んだよ。


「熊パパよ、渡り鳥たちの話によれば、旅の道すがら毎年毎年世界中の森が減っていくのが見えるそうだ。また砂漠という砂だらけで緑のない土地が、増えているそうじゃよ」

「熊パパよ!我らの命の源の大切なこの森の木を決して減らしてはならんぞ!リスたちが、自分たちでは気がつかずに植林ということをしておるのは良いことじゃが、お前たち木の実を食べるものたちも、実を食べ終えたらその種を土に返さなくてはいけないぞ。種は、翌年には芽を出して・・・やがて大きな木に育つのじゃよ」

だから熊パパも坊やたちも、食べ終えたたくさんの実の種をとっておいてね、森のあちこちに小さな穴を掘ってひとつずつその種を入れて「来年の春にきっと緑の芽を出してね」と祈るように土をかぶせているんだよ。それを見ていた森の他の動物たちも真似をして、穴を掘って種を埋めているよ。来年の春が楽しみだね。

フクロウ爺さんはこうも言っていたよ。

「木の実を食べる渡り鳥たちが、時々この地に種をこぼしてくれるんじゃ。だから時々、見たことのない木が伸びてくることがあるじゃろう。鳥たちのおかげで、植物の生息地が広がるんじゃよ。渡り鳥たちは、渡りの前に大量の木の実を食べておくそうだよ。そして、緑の少ない土地にその種を落としているらしい。健気なものたちじゃよ」

「さてさて、このあいだ若い渡り鳥から、興味深い話をきいたぞ。ホホー ホホー」フクロウ爺さん、なんだかうれしそうだよ。

「爺さん、もったいぶらないで早く話しておくれ!」
熊パパは、じれったそう。

「はじめて渡りをした若い鳥だったから空から眺める世界は、ドキドキワクワクの連続だったそうだ。若い鳥の話は、実に新鮮じゃな。

さて、年上の鳥に先導されて、あちらこちらの森や湖で休みながら長い旅をつづけていたそうだが。ある時、遠くから見たところでは巨大な白・グレー・茶色の建物だけの人間の住む都会に向かって、先頭の鳥が一目散に飛び始めたそうな。なぜ、そんなところに向かっていくのか?その若い鳥にはさっぱり訳が分からなかったそうじゃよ。ところがじゃ、近づいてみると、その理由がわかったそうな。じつは、これにはこのわしもびっくり!ホホー ホホー」

「爺さん!じらさずに早く続きを話しておくれ」

「なんと都会の高い建物に囲まれた中心に、巨大な自然の森と湖が隠れていたそうじゃ。さらに若い鳥を驚かせたことには、その都会の建物のほとんどの屋上が緑地化されていて、花々が咲き乱れてチョウが舞い、緑の茂みがあったそうだ。そして人々がベンチで憩っていて、魚やカエルのいる池もあったそうな。建物の屋上同士がつながっているところもあるし、人間がボタンを押すと廊下みたいなものが伸びて、隣の建物とつながる工夫がされているものもあったそうじゃ。また緑地のなかには農地となっていて、青々とした野菜や米小麦が育っていたそうな。その若い鳥は好奇心旺盛だったから、屋上のあちこちを飛んで、いろいろな発見をしたようだよ。ホホー ホホー」

「へぇ、人間もなかなかやるじゃないか!きっと、その街の空気は澄んでおいしいにPicture82blog違いないよ」

そしてね、その話に付け足すなら・・・何とそのビル街の屋上には、スポーツをするための施設も造られていたんだよ。プールや野球場をはじめとした陸上競技用施設(お天気の日は、球が落ちないように網上の高い丸天井がついていて、雨の日はそれが透明なカバーで覆われるんだ)があって、ほとんどのスポーツを楽しむことができるんだ。それにね、屋上の緑地にしみた雨は、その土で浄化されて地下にあるタンクに溜められて、その建物の生活用水として使えるようになっているよ。森林の木を伐採する人間もいる一方で、こんな素敵なことを考える人間もいるんだね。建物の屋上って、もっといろんなふうに使えそうだね。

あれ・・・フクロウ爺さんは、木の枝で居眠りをはじめたよ。熊パパは、ほほえみながら坊やたちの待つ巣穴へとゆっくり歩いて行ったよ。熊パパは、森の仲間たちにきっとこの話をしてあげるに違いないよ。ふふふ・・・

 

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2008年2月16日 (土)

<童話>熊パパと森の仲間たち①熊パパの幸せ

                     夕日 作

 熊パパは、魔法のお水が大好きなんだ!

 雨の宵は・・・木の根元に座ってしとしと降る雨音を
 聞きながら、大好きな魔法の水を、ちびりちびりPicture32blog_2

月の美しい宵だったら、きっと・・・
熊パパは太い木の枝に腰掛けて、木の実製のコップに入れた魔法の水を、ちびりちびり

その木の根元に、パックリとひらいた洞からは熊坊やの寝息が・・・ぐうぅぅ~ すぅすぅ~ ぐうぐう
これが熊パパにとって、なによりもステキなおつまみだよ

暗闇を通して・・・フクロウの声が響くよ
はかない命の夏の虫たちも、負けまいと大合唱しているよ

「生きるって、なかなか大変だよ!」

 熊パパが、そっとつぶやいたよ
 それから、ちょっと目を閉じて、何かを思い出そうとしているよ
今よりもずっと幸せだった、若き日のことかな?
笑い声が絶えなかったあのころ、熊ママが生きていたころ

「いやいや、人生なんて、こんなものさ!」

熊パパは、照れくさそうに、頭をボリボリかいたよ
「明日も、かわいい坊やたちのために、おいしい木の実を探さなくちゃ~」

そう言いながら、熊パパが、夜空の星を眺めたときだったよ

突然、夜空一杯に黒い雲のようなものが、広がったんだ

「あれぇ~ あれは、渡り鳥たちだよ。
でも・・・まだ、渡りには早いよ。どうしたのだろう?」

あのね~ 熊パパは知らなかったんだけどね~
この鳥たちが暮らしていた澄んだ湖のある森がね、
何ものかによって荒らされ始めたんだよ
それで鳥たちは、幼い子供たちを連れて早めに渡りに
でたんだ
 

 今、世界中で美しい自然が壊されてはじめているんだよ
大きな機械で、どんどん森の木を切り倒したり、野山を燃やして畑とかいうものをたくさん作ったり・・・
それにね、湖や川が急に濁り始めているんだよ
空気もなんだかおいしくなくなっているしね・・・

それにいち早く気づいた鳥たちは、もっと住みやすい
ところに逃げ出しているんだよ
でもね、自由に空を飛べる鳥たちはいいけれども・・・
飛べないものたちは、哀れだよね
ただね、多くの動物たちはまだ、異変に気がついていないかも

さてさて・・・熊パパは、ほろ酔い気分・・・
魔法の水ももうなくなっちゃったよ

<熊パパちゃん、気をつけてね!木の枝からおっこちそうだよ>
 
なんて言っているうちに・・・熊パパは、木の枝から
 ずるずると滑り落ちてしまったよ
 
でも・・・下は草がいっぱい生えているから、だいじょうぶ

 
おやおや、熊パパちゃんったら、そのまま眠り込んでしまったよ
 
ふふふ・・・お休みなさい~

 熊パパと坊やたちがいつまでも、この森で幸せに生きられるといいねPicture33blog_2

                    

                           

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